「大学時代に県内の心霊スポットに突撃した話 その1」
今から20年前の話。とある大学でのことである。
講義の合間の食堂で、「掃除機で幽霊を吸う」と7人は意気込んだ。組織名は「ゴーストバスターズ」。免許を持って活動範囲が広がった喜びを心霊スポットにむけたのである。
7人のうちの3人は、数日前に近くの砂浜でナンパを試み、
「ビーチボールやりませんか?」
「ビーチバレーだろ、おい!」
と、事前の打ち合わせ通りに軽快なボケとツッコみを炸裂させるも
「・・・・・。」
という女子の素晴らしい反応に自暴自棄になっていた…。
どこの心霊スポットにいくか。
もし仮に、浜辺のギャルからメルアドをゲットできなかった悔しさを晴らすための特攻だったら、間違いなく県内屈指の心霊スポット、八木山橋に向っていただろう。
しかしチキン・・いや、リトルチキンでラッドレースな7人は、最初の活動を僕の部屋での飲み会にしたのだった。
「ほんとうにあった呪いのビデオ」を見つつ、酒を飲み、これからの活動を話し合う。
行き先が決まった。
最初の心霊スポットは「乙女の祈り」。
乙女の祈りとは、女性が自殺する前に首を吊るその木に文字を掘ったものが今も残る心霊スポットだ。
みんなが帰った後、後藤まみのAVが無くなっていたのが最初の霊現象。戦慄した。
数日後、夜中に7人が集まった。
乙女の祈りに向うべく、車を発進させる。
田んぼ道を進むと採掘場のような奥まった広場に出た。
車を降りて慎重に進む。
すると、闇の中に白い乗用車が現れた。
近づく7人。
乗り捨てられた廃車だと思っていた乗用車には、人が乗っていた。
マズイ!と走って車に戻る7人。
そのときの様子をマンモーは振り返る。
「あのときのチン・マン彦の走りは、手はアスリート、足はガンダムだった」と。
そりゃそうだ。真っ暗闇の中で転ぶわけにはいかない。
しっかり地面を踏みしめる為に、足は踵からガッツンガッツン。早く逃げたいから手の振りは早かった。
それほど慌てていたのだ。
慌てていたのは僕だけではない。運転手のオケラもだ。
車に乗り込もうにもパニックでカギを無くし、上着を地面に脱ぎ捨てて
「カギ探して!」と叫んだのだ。
自分のポケットも探せないほど慌てていたオケラは、幼い頃にヘドロのドブで取れたザリガニに、持参した醤油をかけてその場で食い、その年のぎょう虫検査に引っかかったのはこの話には関係ない。
なんとかカギを見つけ車に乗り込んだ。
行き先は乙女の祈り。
しかし、当時はスマホもない。迷う迷う。
途中、遠くの田んぼで火が燃えていて、
「火ぃぃぃぃぃ!!!!!!」
と1人が叫んだ。
この男は苗字が某団体と同じことから組長と呼ばれており、フィギアスケートの荒川静香をタイプだと公言したことから、メンバー内では女性を見る目が周回遅れだとヒソヒソされていた。
結局、乙女の祈りに辿り着くことはなかった。
収穫は採掘場のような場所で遭遇したカーセックス。
それだけだった。
続く
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