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「天皇暗殺計画 虹作戦」

1974年、天皇の暗殺未遂事件が起きた。犯人は「東アジア反日武装戦線 狼 」。

「狼」は天皇暗殺で昭和を終わらせようと企てたのである。

それに至る背景も交えて簡単に説明しよう。

 

安保闘争

敗戦後、日本は防衛より経済復興を優先すべきと当時の首相、吉田茂は考えた。アメリカに日本国内に米軍を駐在することを認める代わりに日本の安全を保障するよう持ちかけた。これが日米安全保障条約である。

吉田の3代あとの総理大臣、岸信介。岸は軍備を拡張し、アメリカと対等となることが日本の真の独立と考えた。それには安保の改正が必要である。これが平和を望む多くの国民の反発を呼ぶこととなる。

70年代になると騒ぎは沈静化し、大阪万博などが開催されるなか、日本は平和ムードに包まれつつあったが、水面下で極左化、過激化する勢力が育っていた。

 

連続企業爆破事件

1974年、8月30日。東京丸の内三菱重工東京本社ビルが爆破された。8人が死亡、376人が負傷した。後日、犯行声明が届く。送り主は「東アジア反日武装戦線 狼 」。狼は「日帝の政治・経済の中枢部を徐々に浸食し、破壊する」と宣言。

10月14日。三井物産本社が爆破され、17人の負傷者を出す。このときは「大地の牙」と名乗る組織からの犯行声明が出された。

それから12月にかけて、立て続けに企業が爆破される。「狼」によって帝人、「大地の牙」によって大成建設、「さそり」と名乗る組織によって鹿島建設が爆破された。

いずれの企業も海外に進出した企業で、犯人らはこれを「日帝による侵略行為」と考えていたようだ。

 

組織の特徴

この爆破と同時期に連合赤軍による「あさま山荘事件」が起こっていた。赤軍系と「反日武装戦線」との違いは、赤軍系が世界革命を目的としているのに対し、反日武装戦線は反日をベースにしていた。赤軍系が金融機関を襲って資金調達していたのとは対照的で、反日武装戦線は普通に勤務し、その報酬を充てていた。近隣住民とも最低限の交流をし、静かな一般市民として暮らしていた。自宅の地下で爆弾を製造していたのである。

 

天皇暗殺計画 虹作戦

狼は天皇を「幾千万人ものアジア人民を圧殺した大犯罪人」と考え、暗殺を計画する。天皇は毎年8月15日の戦没者追悼式に出席するため、前日に那須御用邸から専用列車で帰京する。この列車が荒川橋を通過する際に橋ごと爆破しようと考えたのである。しかし爆弾を設置しているところを通行人に見られ、作戦は中止となる。

 

この爆弾が三菱重工爆破に使われることとなる。他の爆破事件より三菱重工の爆破の被害が大きいのはこれが原因だった。

 

逮捕された「狼」「大地の牙」「さそり」

この3グループは「東アジア反日武装戦線」の名の元に集まった若者たちであった。警察は5月19日にメンバーを一斉逮捕する。

東アジア反日武装戦線」は新しいタイプのゲリラ組織だった。旧日本帝国主義のアジアでの行ないに問題意識を持ち、反日思想を先鋭的に構築した組織だった。

 

 

 

 

 

 

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