「世界一幽霊が出る島 ポヴェリア島」

2014年にヴェネチアの近くにあるポヴェリア島の「99年間のリース権」が競売に出された。このニュースが地元イタリア人だけでなく、欧米のメディアからも注目されたのには理由がある。

このポヴェリア島は「世界一幽霊が出る島」なのだ。それは昔からこの島で多くの人が死んでいることに原因がある。

 

中世ヨーロッパでペストが大流行したときの出来事である。ヨーロッパでのペストはイタリアの港町から始まったといわれている。その感染力は凄まじく、当時の世界の人口の30%の死者を出すほどペストは猛威を振るっていた。当時はペストの治療法はなく、感染したら死を待つしかなかった。そのため、感染した患者は徹底的に隔離された。その隔離場所が、このポヴェリア島だったのである。島に送られた患者たちは治療もされず放置され、亡くなった。その数は数千人ともいわれている。

 

1922年、隔離用の施設だった建物が精神科の病院として利用されることとなる。20世紀に入り、精神医療の分野は発達したが、まだまだ非人道的なものも多かった。長期療養が必要な患者がこの施設に入ったのだが、人体実験や拷問、患者の自殺などの噂が絶えず、1968年に病院は閉鎖されてしまった。

 

長い歴史の中で、このポヴェリア島で命を落とした人は16万人といわれている。

 

財政難にあえぐ政府が資金捻出のため、国有地の売却を計画し、このポヴェリア島のリース権も競売にかけられることになった。このときの競売は落札価格があまりにも低かったため、国が取引を撤回している。

 だが、地元民たちはポヴェリア島が再開発されることを望んではいない。悲しい過去を持つポヴェリア島が、このままの形であり続けることを望んでいるのだ。

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