「怖い話を再検証するコーナー第15回(玄関前にうずくまる影)」

自分が大学一年生のときなんで、今から14年前の話ですね。

 

玄関でうずくまる影

婆ちゃんが死んだんですが、こっちの婆ちゃんは一緒に暮らしてた方の婆ちゃん。前に葬式の話で出てきた婆ちゃんは母方の婆ちゃん。 

うちは座敷が二間あって、そこそこ広い家なんで、通夜も葬式も家でやりました。参列客も結構来て親は大変だったみたいです。そして、うちは神道なんで祭なんですよ。仏教だったら初七日とかだと思うんですが、神道は五日祭とか十日祭とか。だから基本的にわいわい故人を思い出しながら楽しくやる感じ。

んで、そんときは葬式の後だったかなぁ・・・。夜8時くらいですね。まぁわいわいやってたんですよ。そしたら「こんばんわー」って聞こえて、全員の会話がピタ!っと止まったんですね。座敷にテーブル広げて酒飲んでたんですが、座敷と玄関は障子の引き戸一枚しか隔ててない。だから誰か遅めの訪問客がきたんだと思って、障子をサーっと開けたんです。・・・しかし誰もいない。

おかしいなぁ、だの、完全に聞こえた、だの、みんなで言っていたんですが、いないもんはしょうがない。すぐに忘れてまた飲み会は再開されました。

 

その頃、ちょうど家の前をチャリンコで通った男がいました。そう。たびたびこのコーナーに出てくる地元の友人K。彼は高校んときの友達とカラオケをすべくチャリンコで家の前を通っていたのでした。そのときのこと。うちは通りに面して外壁があります。門のような入口があって(扉はないよ)、15メートルほど入ると玄関があるんですが、蔵などがあるため玄関は道路からは見えません。ちょっとカーブして玄関まで歩くんですね。その敷地内を腰を曲げた老人の影がの~っそり歩いていたというんです。うちは葬式の当日だったので、Kはそういう人がきてたんだろうなぁ・・・としか思っていなかったらしいんです。

んでKがカラオケを終えた帰り。夜中です。またうちの前を通ったそうなんですが、そしたら行きで見かけた老人の影が、玄関の前でうずくまってたと言うんです。道路から玄関前は見えないはずなのに。

 

再検証

Kが見た午後8時頃の影。その時刻に聞こえた「こんばんわー」。夜中に玄関前でうずくまる影。

全部偶然で片付けられるっちゃあそうなんですがね。しかも道路から玄関は見えないのに。

Kが見えない位置のもの言うのは今回だけじゃないんですよね。前も夜中に運転していて、助手席でKが「今見えてた?女子高生渡りかけてたの」って言い出して、通り過ぎた後方の女子高生をバックミラーで見てるんですよ。「あんた助手席からじゃあバックミラーの角度的に後ろ見えないっしょ?」って指摘したら「あぁ・・・。そっか・・・。」って。そういうことがあったんすよね。そもそも夜中に女子高生歩いてないよ。こんな漁港の町に。

なんかKは目じゃない部分で見てることがたまにあるんすよね。まぁ霊的なときだと思うんですが、本人が区別できていないから周りが迷惑よね。いねーっつうの女子高生なんか。

なので、道路から見た玄関前の影はKの霊的な目が見た映像なのではないかと。かっこいいね。榎木津礼二郎みたいで。

そしてロマンティックに少し妄想すると、その影は婆ちゃんに恋していた近所の青年だったんではないかと。当時は家と家が決めたお見合いでしたから、天国では一緒にいましょうと迎えにきたのでは。しかし!爺ちゃんもすでに死んでいるので、下手なことすると爺ちゃんにやられまっせ。気をつけて青年老人。

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