「腐乱死体牧場 ボディ・ファーム」

 

農場で飼われている動物といえば牛や羊をイメージするだろう。しかしここは違う。人間の遺体を管理するボディ・ファームだ。

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1981年に作られたこの研究施設は、雑木林や池などが点在する、広さ1ヘクタールの立入禁止区域だ。その1ヘクタールの敷地に人間の遺体が何体も転がっている。

この研究施設は、アメリカのテネシー州ノビックスにあるテネシー大学医療センターの敷地内にある。なぜこのような施設ができたのか。それは、刑事事件で扱われる遺体の正確な死亡推定時刻を割り出すためのデータを集めるためである。

屋外で遺体が発見された場合、雨ざらしになっているケースとビニール袋に入れられているケースでは腐敗の進み方は違う。細かな変化を観察しているのである。

 

では、このボディ・ファームはどこから遺体を調達してくるのだろう。身寄りのない遺体などもあるが、大部分は自分で死後、ボディ・ファームに送られるように登録した人達の遺体だ。臓器提供と同じ感覚で登録しているのだろう。現在の登録者数は1200人を超えている。

実際に日本の犯罪捜査にアメリカのボディ・ファームのデータが使われている。気候や環境によって遺体の腐敗状況も変わるため、日本にもボディ・ファームがあってもいいようなものだが、それは実現していない。イギリスやヨーロッパ諸国でも国民の理解が得られずに開設を断念している国もある。

 


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