「悪の組織 ブラック・クラブ・ズコバコ」

小さい頃は周りに同級生がいなくて、近所のスーパーのオクヤマの二色刷りのチラシは固くて飛行機が折りやすいなぁと悲しい幼少期を過ごしていた僕でも、今では「中村会」「バスターズ」と2つのグループに属し、それぞれのグループではある程度主要な席に座っています。

「中村会」でBBQするときには全て段取りは僕がやりますし、「バスターズ」の飲み会では参加者の集計から飲み屋の予約まで僕がやります。

要は下っ端です。

 

そんな下っ端の僕は、中学一年生のときにもう一つの団体に属していました。

「BCG」

悪の組織、ブラック・クラブ・ズコバコ。

今考えれば、ズコバコだからZか?とも思いますが、当時の僕たちにはわかりません。

BCGのリーダーはひーちゃん。

ひーちゃんは冬でもチョー薄着で学校にやってきて、それを指摘すると「黒龍の怒りに触れた」と言いながら、右手を竜のような動きにしてチンコを攻撃してくる男でした。

また、油断してひーちゃんに背を向けると、背後から股の間に手を入れてきて金玉を掴み、「グランドキャニオン!」と叫びながら上に持ち上げてきます。

軽量のケイちゃんがやられたときには上がり過ぎて、ケイちゃんは「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」と叫んでいました。

そんな危険人物がリーダーを務める組織は、公安からも目をつけられていて、活動も秘密裡でした。

 

僕とひーちゃんはバスケ部に入部したんですが、新入部員の僕たちの最初の活動は応援です。ボールなんて触れません。

ヤンキーの先輩たちがワイワイやってるのをフェンスの外側に整列して、先輩が決めれば「ナイシュー」、外せば「ファイト―」。

そんな中で先輩にあだ名をつけ、「今日の下痢気味先輩調子悪いなw」なんてヒソヒソするのがBCGの活動でした。

その下痢気味先輩の妹と僕の従兄弟が結婚するので、遠い親戚になるなんて当時の僕にはわかりません。

しかもその奥ではソフトテニス部の女子の先輩がミニスカートで練習しています。

エロの道も極めていたひーちゃんの目は常に光っていたので、応援練習はかなり楽しいものでした。

 

部活中のお喋りだけが活動じゃありません。女性会員の勧誘も大事な活動の一つでした。

当時の僕らは組織を大きくすることに必死です。

会員の中には、今では地元で歌手をやっている女もいました。Jリーグの選手にもこの女のファンがいるなんて話も耳に入ってくるくらい出世した同級生なんですが、当時はおでこが広いことを理由にひーちゃんにヘルメッタ-と呼ばれていました。

他には、久しぶりに高校のときに再会したら爆乳になっていたオーシャンガールという天然娘もいて、当時はラグビー部のキャプテンと付き合ってると本人から聞いた僕は、付き合ってんだか突き合ってんだか・・・まったくフフフと妄想しかできない悲しきASIAN BOYだったわけです。

そして20歳のときです。僕は行かなかったのですが、小学校が取り壊されることになりました。「その前に~」と同窓会みたいなものが小学校の体育館で行われたのです。女子たちが輪になってバレーをやっていて、それを見ていた中村会の色希が「オーシャンガールがニットでよぉ。胸から目が離せなかったよ」なんてスーパーゲスいことを、さも未確認生物を見つけた探検隊のような鬼気迫る顔で言っていたので、バイトで行けなかった僕は「ふざけんなよ!」と久しぶりの大声が出たのです。そして、「この役立たず!」と写真を撮らなかった色希に幻滅したのでした。

 

話は中1に戻り、

そんな感じでバタバタと女子を2月になって急いで勧誘したのはバレンタインデーの為でもありました。

「組織に属しているんだから、オレ達にチョコを作ってくるのは当たり前だろ?」

相当酷いやり口でチョコを5~6個ゲットした僕たちは、ご満悦でした。

 

しかも僕は、会員の女子以外にもチョコを貰ったのです。

サイトーという女で、学校にコンドームを持ってきたり、イケメンにかなりベタベタし過ぎて稲妻のようなローキックを食らって崩れ落ちたりしていた太った女でした。

その太った女はコンドームに水を入れてパンパンにし、ゲラゲラ笑っていたかと思えば、もう一つのコンドームを勝手に開けた男子にマジ切れしていました。

 

バレンタインデーの次はホワイトデーがやってきます。

中一の僕はそんなお返しの儀式は知りません。お金もありません。

前の日の夕方、どうしようかと迷って仏壇を漁るとクッキーが出てきました。

翌日、サイトー以外の女子たちにお返しをしました。

「あたしにはないの?」と聞いてきたサイトーに対して、「ねーよ」と言った僕は最低だなぁと今は思います。

 

数年後、道端で会ったサイトーはゲッソリ痩せていたんですが、色々な噂を聞いていた僕はかなり動揺していました。

サイトーはしきりに「バカじゃないの?バカじゃないの?」と僕が後藤まみのDVDを裸で持ち歩いていることを指摘していましたが、僕は「この娘はね、お胸はそこまで大きくないんだけどね、プレイが素晴らしいんだよ。そして最後の涙が感動的なんだ。3本の作品を合わせた8時間のベスト版さ」と早口で説明した後、「ごきげんよう」と足早にその場を立ち去りました。

 

 

 

バレンタインデーの今日、朝飯食ってるときに昔を思い出して、少し涙が出ました。

 

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